細菌学

【牛の生殖器感染症】②牛カンピロバクター症

牛カンピロバクター症

・牛カンピロバクター症は、病原体による伝染性低受胎や散発性流産などの繁殖障害を主徴とする感染症。

届出伝染病に指定。

宿主

・宿主は、水牛

  • 届出伝染病に指定されている動物種については太文字水色線で表記。

病原

・病原体となるのは、Campylobacter fetus subsp. fetus , Campylobacter fetus subsp. venerealis

→らせん状のグラム陰性微好気性菌。

→端毛性鞭毛を持ち、コークスクリュー様運動を行う。

・①C. ferus / ②C. jejuni , ③C. coliの違い

→①:42℃での発育する。

→②,③:42℃での発育で発育しない。

分布・疫学

・世界中に分布するが、日本での発生はまれ。

Campylobacter fetus subsp. fetus

菌に汚染された飼料や水を介して経口感染

胎盤親和性が強く妊娠中期(4~7か月)に流産が起こる。

→散発性流産と伝達性低受胎。

→牛や羊などの腸管に無症状で感染。

Campylobacter fetus subsp. venerealis

性交や汚染された精液による人工授精の際に伝播

生殖器親和性が強い

→雄牛:包皮腔に終生定着し、亀頭や尿道からも分離。

→雌牛:膣、子宮頸部、子宮、上行性卵管に感染。

  1. 感染が持続すると、IgGを主体とする抗体応答により子宮の感染を排除できる。
  2. しかし、膣の感染は排除できない。
  3. よって、妊娠はできるが保菌牛(キャリア)となるため、伝達性低受胎となる。

診断

症状

・雄

→無症状(不顕性感染)、精液も正常

・雌

→子宮内膜炎、軽度の子宮頸管炎、卵管炎 など

 ⇒全身症状は認められない。

→肺の早期死滅、黄体期の延長、不規則な発情周期 など

病理

・雄

→病理組織的変化は認められない。

・雌

→子宮内膜炎の像が認められる(胎盤:不透明、皮革様)。

・胎子

→皮下や体腔の血様の浸潤。

 ⇒Campylobacter fetus subsp. fetusでは、肝の黄色壊死が見られることも。

病原診断・血清診断

・病原診断

→検体採取と培養を行い、微好気性菌であるCampylobacter fetusの急速な死滅を確認。

 ⇒不妊牛:悪露、膣粘液、胎盤

 ⇒ 雄牛:精液、包皮腔洗浄液

 ⇒流産例:第四胃、小腸や盲腸の内容物

・培地

選択培地チオール培地スキロー寒天培地

→直接塗抹標本の作製と観察

 ⇒石灰酸フクシンで染色し、蛍光抗体法を行う。

→PCR

・血清診断

→膣粘液凝集反応

 ⇒感染1週間後から抗体が作られることを利用。

 ⇒約60日間持続し、牛群の診断に利用。

予防・治療

・予防

→種雄牛の定期的検査による摘発と淘汰

→繁殖衛生の向上、陽性牛の導入阻止

・治療

→抗生物質、子宮洗浄、包皮腔洗浄、軟膏塗布

参考資料

・動物の感染症〈第四版〉

・管理人のまとめノート

オススメ記事