細菌学

【牛の呼吸器感染症】③子牛のパスツレラ症

子牛のパスツレラ症

・子牛に重度の気管支肺炎または胸膜炎を起こす。

・輸送熱とも呼ばれる。

宿主

・子牛(一部で成牛の発症もあり)

病原

Mannheimia haemolytica

→病原性が高く、細胞毒であるロイコトキシンを産生する。

Pasteurella multocida

→抗原となる莢膜型:A型、D型

→コロニーに水溶性ムコイドが産生される。

M. haemolyticaP. multocida
マッコンキー寒天培地での発育+
溶血性(β溶血)
インドール産生
カタラーゼ産生++
オキシダーゼ産生++

分布・疫学

・日本での発生は増加傾向。

→経済的損失が大きい。

→輸送、厳しい気候、去勢などのストレスが発症の誘因となる。

・子牛

→飼育場に到着してから2週間以内に発症。

→排出された菌は子牛から子牛へとエアロゾルで伝播。

→子牛のパスツレラ症はストレス以外に、本症以外の病原体による先行感染の後に発生。

  1. 上部気道粘膜や扁桃から本菌が分離される。
  2. 日和見感染によってウイルス感染、マイコプラズマ感染、ストレス、飼育環境などが誘因となって本菌が増殖。
  3. 本菌が肺に侵入しパスツレラ症を発症。

診断

症状

・輸送熱

→症状:発熱、元気消失、膿様鼻汁、呼吸器症状 など

→混合感染:顕著な咳や目やに

→罹患率:50%

→死亡率:1~10%

・肺炎発症牛

→罹患率:30%

→死亡率:5~10%

→2~6ヶ月齢の子牛に好発

病理

M. haemolytica

→多発性凝固壊死を特徴とする広範な肺炎病巣。

→凝固壊死層の周囲にロイコトキシンによって浸潤した好中球の変性壊死像。

→壊死巣周囲の肺組織にフィブリン沈着。

P. multocida

→線維素性化膿性胸膜炎。

病原診断

・病原診断

M. haemolyticaP. multocidaの菌分離

予防・治療

・予防

→ロイコトキソイドと莢膜抗原を加えたM. haemolytica不活化ワクチン。

M. haemolytica , P. multocida , Histophilus somniの3種混合不活化ワクチン。

→ストレスの軽減、環境の改善。

・治療

→テトラサイクリン系抗菌薬の投与。

牛呼吸器症候群とは?

・牛呼吸器症候群はbovin respiratory disease complex (BRDC)とも呼ぶ。

・ウイルスや細菌などの病原微生物と、ストレスなどによる免疫状態の変調が複雑に絡み合うことで発生する、経済的損失が大きい疾病(症候群)。

①ストレス(輸送、移動、寒冷、換気不良)

②ウイルスやマイコプラズマによる感染

M. haemolyticaによる感染

↓<常在菌の増加、病勢の慢性化>

P. multocida , H. somni , Mycoplasmaなどの感染

  • ①~③:肺炎の一次的要因
  • ④:肺炎の二次的要因または三次的要因、日和見感染の要因

参考資料

・動物の感染症〈第四版〉

・管理人のまとめノート

オススメ記事