細菌学

【牛の呼吸器感染症】④牛結核病

牛結核病

慢性の呼吸器症状を示す。

主に肺および胸腔内リンパ節の結節性病変が特徴。

法定伝染病人獣共通感染症に指定。

宿主

水牛、めん羊、山羊鹿、豚、人 など

  • めん羊での発生は法定伝染病に指定されていない!
  • 法定伝染病に指定されている動物種については太文字オレンジ線で表記。

病原

Mycobacterium bovis

→性状(M.tuberculosisと異なる性状)

 ⇒ウサギに対して強い病原性を持つ

 ⇒グリセリン添加培地での発育が悪い

 ⇒ナイアシン産生(-)

M. tuberculosis

→人型結核菌とも呼ばれる。

病原性の比較M. bovisM. tuberculosis
  牛  
  人  

分布・疫学

・世界中で発生。

・乳牛の場合(日本)

5年ごとの全頭検査による摘発・淘汰によってほぼ清浄化。

→2000年から激減し、現在は年間で1~2頭。

・肉牛の場合(日本)

検査対象外

→散発的に集団発生。

→感染源としての野生動物

 ⇒イギリス:アナグマ

 ⇒ニュージーランド:フクロギツネ

→感染経路は、経口感染気道感染胎盤感染

→人への感染は、農場や屠場、汚染ミルクなど。

診断

症状

・肺および胸腔内のリンパ節に病巣を形成。

・病巣が全身へ広がると、発咳、食欲不振、削痩などの栄養不良症状。

・重症例

→鼻汁や唾液または糞便中に病原体が排菌される。

→環境を汚染することで容易に集団感染が発生。

・妊娠牛

→全身性の粟粒結節になりやすい。

・乳牛

→乳房に病巣が形成されると乳汁中に病原体が排菌される。

病理

病原診断・血清診断

・病原診断

→乾酪化壊死巣からの菌分離。

 ⇒検査材料:NaOH処理

 ⇒培地:Tween80を添加した小川培地を用いて2~4週間培養

※グリセリンが添加されたような培地では発育しない。

→菌同定:鑑別キット、PCR、プローブ法 など

・血清診断

ツベルクリン反応(生前診断)

 ⇒菌が産生する各種蛋白質の混合物であるツベルクリンを内皮に投与し、皮膚の発赤や硬結といった局所の遅延型アレルギー反応を半定量的にとらえる診断方法。

 ⇒ツベルクリン診断液を尾根部皮下に注射し、48~72時間後の膨張差を測定して判定する。

  • 陽性:5mm以上の硬結
  • 陰性:3mm以下の硬結
  • 疑陽性:2ヶ月後に再検査を実施

INF-γ検査

 ⇒採血した被験者の血液と結核菌が持つ蛋白質(E抗原or C抗原)を混合して培養し、試験管内のリンパ球がINF-γを産生するかどうかを検査。

  • 陽性:IFN-γ産生
  • 陰性:IFN-γ非産生

予防・治療

・予防

→ツベルクリン陽性反応個体の摘発と淘汰。

→病気が発生した場合、同居牛について定期的にツベルクリン検査を実施し、陽性個体を摘発・淘汰。

→牛舎の消毒(生石灰の散布)による除菌。

・治療

→陽性牛は家畜伝染病予防法により殺処分。

人に対してはBCGワクチンがある。

参考資料

・動物の感染症〈第四版〉

・管理人のまとめノート

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